かりゆしの夜vol.16 LIVEレポ 高岡敦
かりゆしの夜vol.16
LIVEレポ
6月3日、清々しい初夏の太陽が沈むほんの少し前。
美らBANDメンバーはリハーサルを終え、どこかいつもと違った空気感に期待と緊張を抱いていた。
今までに無い「音」が準備できていたからだ。
音とは単にスピーカーから出てくる音だけではない。
メンバーひとり一人のコンディション。楽器の機嫌。乾いた空気。潤った感情と適度な不安。そして、なにより、本日お迎えするお客様の楽しむ表情。
ひとつひとつが「音」づくりの素材となる。
不思議なほどにスムーズだった音づくりを終え、日の入りから少し経った19:30開演。
やはり彼らが用意した「音」は、すべてを包み込んだ。
メンバーでさえ、その空気そのものに包み込まれていた。
LIVEは2部構成で、アップテンポな曲からバラード・ブルースまで盛り込まれた内容。それだけでも居酒屋ライブの枠を飛び越えた質感だが、演奏だけでないのが彼らの強み。MCで会場の一体感を構築できるスキルは、これまでの舞台で培った基盤である。
まさにMCは、彼らがエンターテインメントを創り出すBANDであることを象徴する時間である。
今回、不思議なほどに驚いたことがある。
終演に近づくにつれ「音」が繊細になった所だった。
ボーカルはどこまでも声を伸ばし、楽器はシャープさを増した。
そしてオーディエンスは先ほどまでの、飲めや踊れやの賑わいをスイッチさせる。
かりゆしの夜は、オーディエンスの「聴くスキル」の高さもクオリティのひとつ。
そんなラストを迎え、かりゆしの夜VOL.16は、やはり心が震える感動を残し幕を閉じた。
彼らが「音」で伝える「生きる素晴らしさ」は、聴く者ひとり一人の明日をエスコートし続ける。
次回は9月。
それぞれの旅の途中で、また会えるその日まで。
TEAM CHURA ENTERTAINMENT
ライター 高岡 敦